Mac NN経由、BuisinessWeekより。回想記の出版を目前にして、Appleの共同創始者Steve Wozniakが、いかに幸運と熱意がブレイクスルーとなるパーソナルコンピューターの開発に役立ったかを語ったそうです。以下、該当記事を全訳してみます。
Apple IとApple II、およびAppleのオリジナルのソフトウェアの開発者であるSteve Wozniakは、生きた伝説だ。彼とAppleの共同創始者であるSteve Jobsとの複雑な関係や、"Woz"が会社のわくわくする黎明期に同僚たちにした数々のいたずらもまた、伝説的といえる。今秋Wozniakは、技術ジャーナリストのGina Smith (Norton)と共著で、「I Woz:私がどのようにしてパーソナルコンピューターを開発し、それを楽しんできたか」と題された回想記を出版する。去る5月20日、BuisinessWeekの副編集長Hardy Greenが、ワシントンDCで開催された出版業界の豪華なショーBookExpo Americaにて、Wozniak氏に聞いた。
あなたのお話は非常に魅惑的ですが、これまでに多くの本や記事の題材になっています。なぜ今、回想録を書かれたのですか?
僕の話は、一部はよく知られているけれど、一部はそうではない。これまでに何度も本を書かないかと誘われてきたけれど、その時は時間がなかったので、お金を返さなければならなかったんだ。それで1年ちょっと前に、こんどは友人が僕の本を書いてもいいかと聞いてきた。今度は一致団結して、実現したんだ。
この本に費やした時間は、ほとんど2冊分に匹敵するよ。まず最初に、僕がマイクに向かって物語りをし、それを彼女が書き直した。それでまた僕らは、それを僕の言葉に直すために、同じ作業を全部やり直さなければならなかったんだ。
一般にあまり知られていないお話には例えばどんなものがありますか?
たとえば、大学生1年生の時に作ったテレビの妨害マシンについて書いてあるよ。周りに受けるために体を動かすことを厭わない学生が、コロラド大学にはこと欠かなかった。あるときには、スパイ大作戦の後半の30分間、手を画面の真ん中に置いて、足をイスに乗っけたままでいた奴がいたな。そうするとアースの輪っかが完成すると思ってたんだね。
他には、どんなふうにぜんぜん寝ないで、何日もプロジェクトに取り組んだかも書いたよ。ぜんぜん寝ていない状態でいたほうが、冴えたアイディアを思いつくことに気がついたんだ。例えば、お金をかけないでコンピューターゲームを面白くするには、色が大事だって事とかね。
(僕が)世界を変えた実際の日付も、本には書いてあるよ。これはApple Iに取り組んでたときに起きたんだ。それまでのコンピューターには、飛行機のコックピットみたいなパネルがついていた。でもこれ以降は、どんなコンピューターにもキーボードがついた。
創造性や革新について、なにか教訓はありますか?
学校は、僕たちを創造的な作業から遮断してしまうよね。これは、教育は誰にでも与えなければならないから、すなわち政府が教育を担っているからなんだ。それに子供たちは学校で、ある決められた方法だけで物事をやるように教えられる。流れからそれないように。別の題材に移ってしまわないように。
人が生まれて初めて物事をするときには、それを以前にやった人よりもうまく出来るものなんだ。人は新しい物事をたくさん知っているからね。僕はその時存在する最高のチップを知っていたから、それを想定されていなかった方法で利用した。下手なデザインは、努力しない人がするものだよ。一生懸命努力すれば、よりシンプルに動作する装置を作れる。
そこでiPodだ。iPodの成功は、これがコンピューターに従属しているからなんだ。コンピューターはまさに僕たちの生活の中心になったね。
あなたは自分の過去がときたま誤解されていると感じることはありますか?
うん。報道関係者は、僕がAppleと不和にあるように見せようとしているね。僕が怒ってAppleを去ったと聞こえるようにしている。でも僕がAppleを去ったのは、リモコンを作る会社を立ち上げるためで、実際にはまだAppleの従業員でもあったんだよ。今でもSteve Jobsと僕の間に大きな溝を作ろうとしているけど、僕たちはこれまで言い争ったことなど一度も無い。誰一人として、僕たちが言い争っているところを見た人はいないよ。僕たちは違う種類の人間だけど、僕は人と争うタイプじゃない。
あなたはこれまでJobsにだまされたと感じたことはありますか?例えば、あなたが開発して、JobsがAtariと自分たちのものだと主張した、ゲームのBreakout(ブロック崩しの元祖)の場合などは?
彼はお金のことを優先していたからね。Breakoutに関しては、僕にちょっと聞くだけで良かったんだ。僕はヒューレット・パッカードで働いていたから、お金には困っていなかった。彼はいつもビジネス第一、僕は設計第一だった。これは善悪の問題じゃないんだよ。
Steveはこの本の前書きを書くことを断ってきた。でもこの本には、彼のことはなにも悪く書いてないんだ。きっと何か誤解しているんだね。
この春、あなたはAppleの前CEO、Gil Amelioと、公的ベンチャーキャピタルファンドと言ってよいAcquicor Technologyを設立しました。最近の動きは?
短期間で株式公開して、220億円程度のお金を集めたよ。今のところ信託にお金がたくさん眠っていて、80%の資金に企業買収のタイムリミットが迫っている。株主はどんな買収でも承認しないといけないね。
この本はあなたに周囲の耳目を再び集めることで、会社の助けになるとお考えですか?
そんなことは無いけど。でもたぶん、Acquicorについてテレビで聞かれるだろう。誰かがそれを聞いて、会社に興味を持つかもしれない。僕たちの計画は、なにかうまくいってない事業を見つけてきて、買収し、大きな方向転換をさせることなんだ。
コンピューター産業のイノベーションの現状はどう思いますか?
この産業は今ではかなり成熟してしまって、もうほとんど革新の余地が無くなってしまっているね。そこらに小さな会社がいくつもあるけど、それらは注目されない。Appleでもムービーや写真を作るプログラムを持っている。50の会社がコンピューターを作るような状況は考えづらくて、1ダースくらいの会社と、2、3のOSしか存在できない気が強くするね。だから、もう開拓されていない分野はあんまり残っていないと思うよ。ただ、GoogleとYahoo!は、まだとても革新的だと思う。
あなたはこれまで教育にも関わってきましたね。
僕は地域の学校で、5年生のクラスと、6-9年生のクラスと、教師たちを教えた。結局、週に7日間教えることになってしまったよ。いつか、コンピューターが教師になる日を楽しみにしている。でも、僕たちはまだ人工知能も手に入れていない。もしもコーヒーを淹れられるロボットができたとしたら、たぶん十分実用的な人工知能が完成したと言えるかもしれないね。そうしたら、30人のクラスに30台のコンピュータ教師をつけて、生徒それぞれに違った進度で教えることが出来る。
なぜこれほど多くのものを発明できたのがあなただったのか、他の人ではいけなかったのか、といったことを考えたことはありますか?
それはまさに、この本で書きたかったことそのものだね。僕はとても幸運だったし、偶然にも恵まれた。これらは僕らの時代の最高の製品、Apple IIコンピュータに集約されているよ。僕はシリコンバレーという最適な環境に恵まれたし、協力的な父親がいたし、適切な手引書にも出会えた、本当に偶然にね。
でも、人が自分に適した物に出会ったときには、心の底からそれがわかるし、これから一生やっていきたいことだ、ってわかるんだ。僕は愛と情熱だけでこれを成し遂げたし、他の誰よりもうまくやりたかっただけなんだよ。
かなり古い記事ですが、このエントリを書くに当たって参考にこちらを読んでみました。すごい人の話は、本当に引き込まれますね。
(追記)冒頭、語訳していた文を(同僚たちにつけこんだ、という現実的なジョーク→同僚たちにした数々のいたずら)のように訂正しました。失礼いたしました。